「高慢~」⑤  自分を数倍魅力的に見せ、かつ、相手の力を無力化する

前回、どんな逆風でも100点のことが言える男は、自分のスペックを演出するだけにとどまらず、実際の何倍も自分を魅力的に見せてしまうってことを書きました。

動画で紹介したとおり、ひどいむちゃぶりにも堂々たる態度をとり、スパーンと切り替えしできれば、凡庸ななりをした男でもすげーかっこよく見えます。ちょっとしたひと言で知性や才能のきらめきを見せつけ、低スぺ男子でもその瞬間だけ、スト高のごとく見える、というやつです。

スペック30点の男でも、スペック90点の男と張れるって現象が起こるのですね。

これって十分にすごいスキルです。しかし、です。実はトーク力・態度のスキルはそれだけではもったいないのです。
「相手を無力化する」技術として同時に合わせ技で使うことで、もっとえげつない効果が得られるからです。

動画で、ダンディたちはお互いを貶めあっていました。逆風状態でうまい切り返しができれば逆に自分の見せ場としてしまえるのですが、しかし当然ながら、できなければ貶められてしまいます。ピンチに焦って態度が崩れ、しどろもどろになってしまえば、その人の魅力が半減してしまいます。

なので、もし自分がうまいこと言った後に、相手をヒヨらせることができれば、

・スペック30点の男→うまいこと言うことで一瞬90点に見せる

・スペック90点の男→むちゃブリにヒヨって魅力が半減し、45点以下の男になってしまう

という状況を同時に作り出せてしまうのですw

こうなると、30点男VS90点男の力関係が、その瞬間だけ逆転し、90点男VS45点以下男となり、低スぺ男子がハイスぺ男子に圧勝する、って現象を起こすことができる。

スポーツでもそうですが、状況に飲まれてヒヨると本来の実力の何割かしか出せなくなります。コミュニケーションの世界では、やり手はその状況を意図的に作り出そうとするわけですね。

 

たとえばナンパシーンでは、外見90点以上のスト高キツめギャルに対し、スト低ナンパ師が果敢に挑んでいき、スペック差にヒヨらず堂々たる態度をとってトークで魅せたとします。

スト低ナンパ師は一瞬だけ、90点キツめギャルと肩を並べているのですが、しかしここで終わってしまえば「肩を並べ、互角になっただけ」で終了です。普段が90点の相手に、その場だけ90点に見せている男が勝負しても、勝てる見込みは微妙です。きっとそのうちぼろを出して崩れていくことでしょう。

さらに腕を磨いて「100点に見せれるようになろう!」という姿勢ももちろん重要でしょうが、すご腕ナンパ師やNLPの使い手であれば、ここで「相手をヒヨらせ、力を半減させる」トークを仕掛けるってことをやりますよね。

ドラクエで言うと、自分にはバイキルトをかけ、相手にはルカニをかけるって感じでしょうか。

いわゆるネグってやつはその種の技ですが、NLPには混乱法だの驚愕法だの、そうした技はたくさんあります。

で、トーク・態度の技術を駆使し、自分を最大限演出しつつ、同時に相手の力を半減させることで

90点女VS30点男 → 45点女VS90点男

って感じに、その瞬間だけしてしまえるのです。こうなれば力関係が逆転し、確実に勝ててしまえるってわけです!

トーク力・態度を磨いて、このようなコミュニケーションをひょいひょい仕掛けられるようになると、普通のコミュニケーションでは起こりえない、魔術・悪魔的なことを引き起こせてしまえます。絶対食いつきようがないスペック差の相手が死ぬほど食いついたり、周りの人間が勝手にサポーターと化していったり、なんてことが起こるわけですね。これは「バイキルトでぎりぎり張れても勝てない相手に、同時にルカニもかけることで圧勝できる」からこそ起こせることなので、バイキルトだけで戦うのはもったいない話だし、バイキルトとルカニをかけてくる相手と勝負すると負けは必至でしょう。だから、トーク力・態度を磨くだけでは片落ちなのですね。
これって一見、魔法じみていますけど、NLPではそこらへん、しっかり理論化されてますw(恐ろしい話です・・・) で、それこそ平民出の低スぺ男子が、王族級のセレブを相手にして手玉に取るなんて実例は、歴史上いくらでもあるわけです。

 

 

というわけで前回からつらつら書いてきましたが、やっと本に戻ります。まさにエリザベスのトーク技術はこのレベルまで達していて、ダーシーと対等に並ぶにはとどまりません。相手をヒヨらせながらトークで魅せることで、余裕で相手の上を行き、圧倒して手玉に取るってことを何度もやらかすのです。そんなシーンを紹介していきます。

 

このシーンの直前、ダーシーが調子こいたことを言います。

ダーシーに媚びているもう一人の女は、

女「そんなことを言う人を、どうやって罰しましょうか?」

などと言います。
なんかちょっとした生意気を言いつつ一生懸命「対等に立とう」としてる風なのがバレバレですねw

が、さすがのエリザベスはそんな生ぬるいやり方をしません。もっと「がっつり上から行く」わけですが、そのやり方が死ぬほど巧妙です。

エリ「そんなのバカにしたりましょう」

女 「だめ、ダーシーさんはバカにされることに慣れてないから」 ← 「わたし、ダーシーさんのことわかってるのよ」的な媚びを感じますw

エリ「プライドが高い系だから? それって、長所?それとも欠点?」

と言いながら、小バカにしたような顔に微笑みを混ぜつつ冗談めかして詰め寄ります。いやはや、このすご腕ナンパ師級のやり口にはオレは舌を巻きますよね・・。鳥肌が立ちます、マジで。

エリザベスはダーシーを「プライド高い系の、ギスギスしたコミュ障男子」と、完全に見透かした上で、「わたしは余裕でおめーの正体を見抜いているけど?弱点もわかっちゃうけど?」的なニュアンスを出しつつ、ふざけておちょくってる感じを混ぜることで、ダーシーのコンプレックスを、直で刺激はしないけど間接的に、軽く表面をなでるようにイジっているわけです。

ここでむっちゃ重要なのは、ダーシーのプライドの高さを逆に利用し、バインド(=拘束。ダブルバインドが有名ですが、ここはシンプルバインドです)を仕掛けているってことで、つまり、

・「プライドが高いのは欠点である」と指摘

・女に挑発的に上から指摘されてダーシーはムッとくるのですが、それを表に表せば「自分にはプライドが高いという欠点がある」と認めたことになる

というわけで、「うっ」ってなり、動けなくなるわけです。

たとえば、気の強そうなギャルに「もしかして気が強い系? 気が強いやつってさ、人から何か指摘されると腹立てるよね」みたいに言うと、そいつは気が強いと指摘されて腹が立っても、「ここで腹を立てると、指摘されたことをそのままやることになる」、というバインド=拘束がかかっているため、どうしたらいいかわからなくなり混乱、一時的に主導権を失ったりするのです。で、混乱している間、ギャルは思考停止状態に陥り、その間こちらが有利な状況となるわけですね。

そういう、まさにNLP催眠の技術を、エリザベスは余裕で使いこなしているのです。

で、ダーシーは急にシリアスな顔をして硬い態度をとり、場にそぐわない厳しい発言をします。要はエリザベスのいきなりのイジりトークに虚を突かれてヒヨり、混乱して、態度がブレてしまい、よくわからないモラルっぽい発言をして自分の動揺をごまかしているのですが。。

動揺したことを一生懸命隠そうとしているのがバレバレですねw

ダーシーがブレたのをしっかり見て取ったエリザベスは、さらなる余裕を見せつけながら、

エリ「ふーん、それは残念。バカにしたかったなあ」

と畳みかけますw

その時のダーシーの顔が見ものですねw 「自分のプライドを傷つけらことを言われるのではないか?」とビクビクした中2みたいな顔をしておりますw まるで女子の否定的な反応を恐れる初心者ナンパ師のごとくw

というわけで、スペックの点では

エリザベス30点  ダーシー100点

くらいの実力差があったはずなのに、

エリザベス100点 ダーシー30点

って感じくらいに、完全に力関係の逆転を起こしてしまっています。これはすべてエリザベスの実力=トーク力と態度で、意図的に作り出した状況である、ってところがポイントですね。

いやはや恐ろしいです。むっちゃ感心してしまいますね・・。

 

ただここで、もう1人の女が「血筋ね」という嫌味で横槍を入れてきます。エリザベスの言動が身分の低い下品なものであるという指摘・当てこすりで突いてきてるわけですが、身分の低さについて言われるとどうしようもないエリザベスには弁慶の泣き所であり、さすがにはにかみ気味に苦笑し、「それを言われては・・・」という顔をするばかりで、何も言い返すことができません。さすがのエリザベスもブレているわけですが、そのブレも最小限にとどまっているし、差別発言しかできず、その後わかりやすく「してやったり」みたいな顔している女のしょぼさが際立つことになるので、エリザベスに恥をかかせようとしたこの女の印象も同時に下がることとなりますね。

結局、このライバルの女は身分とスペック、小賢しさはあっても、むしろウザいくらいでたかが知れており、この程度の相手ならエリザベスは不利があっても楽に勝ててしまうのです。

 

それにしても改めて、ダーシーの残念さといったらありません・・。原作ではもう少しダーシーは言い返していて、映画版ほどみじめではないのですが・・・。
結局、生まれに恵まれたというだけの、偽ダンディーなのです。

エリザベスはこのやり取りでダーシーに「この女、ただものではないぞ!」っていう、強烈な印象を残すことに成功しています。
一見、すげー地味な普通の会話をしているようですが、水面下では実はガツンとくることをやらかしている。NLPの恐ろしいところは、相手に気づかせないで主導権を完全に奪いさるってところですが、この「普通の会話をしている」風の地味さがまさにポイントなわけですね! マジ見習いたいところです!

 

 

*** 追記  2017年7月24日
以上、『高慢と偏見』について5回に渡っての記事を書いたのですが、ここまでで未完となっています。書いているうちにどんどん書きたいことが出てきて、「このまま行くと余裕で本一冊分になってしまうし、なんなら本にしてしまおうかな?」と思ってるうちに、気がつけば2年半の月日が経ってしまいました。今読み返しても、当時書きたかったことの3分の1程度しか書けていないので、ぜひとも続きを書きたいのですが、いかんせん、現在執筆中の2冊目も全然進んでない状況で、3冊目4冊目の執筆プランもほぼ決まってしまっているので、この続きに取り掛かれるのはずいぶん先のこととなりそうです・・・泣

 

*** 追記2 2017年8月10日
前回の記事に加筆したアンバー・ハードとイーロン・マスクですが破局となったそうですね。

アンバー・ハードと大富豪イーロン・マスクが破局

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この記事によれば、イーロンの方がフッたそうですw さすがにイーロンはクソビッチについて学習済みで、アンバーがマウンティングや振り回しを仕掛けて「教育」してこようとしても、「付き合ってらんねー」ってなったのかもしれません。アンバーは目論見を外したってことでしょう。一挙に勝負かけすぎたのかも?
なんにせよ、イーロンが振り回される結果にならなくてすんでオレは勝手にほっとしています・・。
こういうクソビッチを相手にすると「オレもいっぱしのナンパ師だ!逆にマウント取って、返り討ちにしてやるぜ!」などと、うがったことを考えがちですが、基本、やめておいた方がいいですね。クソ野郎同士が泥仕合をすると、両者疲弊し、潰れること必須です。世界大戦で潰し合い、世界の覇権を失ったヨーロッパの如く、lose-lose関係となるでしょう。仮に一時的に支配を確立できたとしても、ちょっとした隙にゲリラ戦を仕掛けられたら膨大な損失を出します。クソビッチを相手にしたら、そいつのやり口から学習させてもらうだけにとどめておいて、「モノにしてやろう!」「じゃじゃ馬馴らしを仕掛けて、服従させてやろう!」などと考えず、さっさと撤退するか、思いっきり距離を取って月1回しか会わないなど接点を最低限にするべきだと思います。同棲なんてもってのほかです。

しかし、アンバーほどのクソ女相手に自分から近づいておいて、ちょっと付き合って、さっさと別れるなんてことをイーロンはやってのけたわけで、どっちかと言えばイーロンの方が手玉に取ったという結果になったのかもしれません。才能のある男が圧倒的な財力を追い風にしつつ多少の経験を詰めば、アンバー程度のクソビッチに呑まれるってことはないのかもしれませんね。

 

高慢~④ 男にとってトーク力や態度とは何なのか?

前回、ダンディとしてダーシーのトーク力と態度は中途半端であり、「あ~あ、せっかくのスペックも台無しやな・・」ってことになってしまうと書きました。

もしダーシーにトーク力と態度があれば、「スペック台無し」どころか

①自分を最大限魅力的に見せる

ことができたわけで、彼のヤバいスペックをさらにぐっと演出できたはずです。

「鬼に金棒」だったでしょう。

 

ただ、実はダンディ道からすると、「トークや態度でスペックを演出できる」程度ではまだまだ甘いのですね。

 

ダンディ道においては、トーク力・態度というものは、自分の容姿・肩書き以上のものでなくてはいけないのです。

「イケメンなのに、トークもおもろい」

では、結局、

外見>トーク力・態度

なわけで、そんなの本当の男とはいえんのです。

男なら、

トーク力・態度>外見・肩書き

ってなってないといけません。

男と女の最大の違いはそれですよね。女は外見だけでもてはやされますが、男なら、そもそも中身がないと話になりません。女は「外見あっての中身」でよくても、男は「中身あっての外見」でないと!

つまり、

鬼=本体

金棒=付属品、パーツ

であるとするなら、

最強の女=鬼のような外見に、付属品としてトーク力・態度=「鬼に金棒」

最強の男=鬼のようなトーク力・態度に、付属品としての外見・肩書き=「鬼に金棒」

ってことになるのだと思います。

男も女もいくらすげー金棒を持っていても、本体部分がしょぼいと一挙にランクが下がりますもんね。

中身が最強で外見がカスの男 → それでも尊敬される

外見最強で中身がカスの男 → 見下される

中身が最強で外見がカスの女 → 見下される

外見最強で中身がカスの女 → それでも尊敬される

ってところでしょうか。

 

というわけで、男にとってトーク力・態度は、自分のスペックを演出できるレベルくらいではまだまだ甘いというわけです。死ぬほど磨いて、自分にとって一番の武器になってるくらいでないといけません。

トーク力・態度というものは、すご腕ナンパ師やNLP催眠レベルにまで磨けば、とんでもねー武器になるので、オレはここを中途半端にするのってホントもったいねーと思うのですよね。

トーク力・態度が最強レベルだと、

②ピンチをチャンスに変えられる。むしろ自分の最大の見せ場にすらしてしまう

③相手の力を無力化できる

ってことができてしまい、これこそが男が身に付けるべきクソヤバいスキルなのです。

まずは②の点について。

普通におもろいことをいう、くらいなら誰でも練習すればある程度はできるようになります。が、それをピンチの時、逆風が吹きまくってるときにできるか?となると、誰でもってわけにはいきません。

たとえば、

・無風状態で70点のことを言う

・逆風状態(マイナス50点の状態)で65点のことを言う

この場合、どう考えても後者の方がすごいですよね。前者は70点のことを言いましたが、後者はマイナス50点からの65点ですから、「ふり幅は115点」だからです。

70点とった前者より、ふり幅115点の後者の方が、

「む、こいつ、やるな!」

って印象を残せますよね。

で、もし、逆風状態で100点のことを言えたとすれば、「うっわ、こいつマジか!ヤバくね?」ってなるわけですが、いわゆるダンディはこれができないといけないのです。

ブランメルやオスカー・ワイルドは、たとえば王族の前でひどいむちゃぶりをされたりして、マイナス80点以上の逆風状態でも100点のことが言えたわけです。身分の低い生まれであると、人生の中で自分に追い風が吹いているって状況はあんまありません。無風状態すらまれであり、「いつも逆風、ってのが当たり前」なくらいです。ハンディを背負いつつも、他のハイスペックの連中には絶対真似のできない発言をして、状況をひっくり返し、強烈な印象を与えてしまうわけですね。

それこそがダンディなのです。

この点で死ぬほど参考になる動画がありますので、紹介します!

 

モンティパイソンのコントです。 最後のオチでいきなり志村けんみたいになり、時代を感じますが、とにかくセリフがヤバいです。

中央左がオスカー・ワイルド、中央右がプリンスオブウェールズ(皇太子で次期国王)、右端がホイッスラー、左橋がバーナード・ショー、っていう、すごい面子です。

オスカー・ワイルドはイギリスを代表するダンディの1人で、オレも死ぬほど影響を受けています。

ホイッスラーは画家ですが、ダンディとしても有名な人です。

バーナード・ショーは、『マイフェアレディ』の原作『ピグマリオン』を書いた劇作家ですね。

 

要はプリンスの前で、うまいこと言ってトーク力で競いあっているのですが、途中からお互いにむちゃぶりしあって、お互いを貶めようとしてますw ただでさえ身分の低い田舎者(ワイルドは平民の出でアイルランド出身、ホイッスラーも平民の出でアメリカ出身、ショーは没落貴族の家系でアイルランド出身)がプリンスの前でうまく振るわなくてはいけないっていう、プレッシャー状況であるのに、お互いにその状況をさらに過酷なものにしあってるわけですw しかし「そんな状況でもうまい切り替えしができるっていうのが、その人の実力の証明であり、むしろ自分の見せ場できるくらいじゃないといけなかった」というのがよくわかりますね。昔のロンドンの社交界ではこのように、王族クラスの偉い人を前にして貶めあいながら、きわどい発言をしてダンディたちはトーク力と態度を磨いていたのです。

 

部分的にセリフを書き出していきます。

最初のワイルドの発言はむっちゃ有名なやつですね。

THE PRINCE OF WALES: Ah, my congratulations, Wilde. Your play is a great success. The whole of London’s talking about you.

OSCAR WILDE: Your highness, there is only one thing in the world worse than being talked about, and that is not being talked about.

プリンス「おめでとう、ワイルド。君の劇はすさまじく成功しているね。ロンドン中が君の噂でもちきりだよ」

ワイルド「殿下、噂されることより悪いことがただ一つありまして、それは噂されないということです」

 

プリンスからのお褒めの言葉に対し、謙遜しつつも受け止めながらうまいこと言って実力を見せつける・・。日本で言ったら皇太子殿下にあたるような人に、こんな世界の文芸史に残るようなセリフが言えたら、そりゃヤバいですよね。

その後、ワイルドがホイッスラーに完全に押され気味になり、ピンチをショーにむちゃぶりすることで無理やりかわすっていう展開で、むっちゃウケるのですが、

WILDE:Your Majesty, you’re like a big jam doughnut with cream on the top.
ワイルド「殿下、あなたはまるでクリームが上に乗った、大きなジャムドーナツのようです」 ←むっちゃスベった
PRINCE:I beg your pardon?
プリンス「なんだって?」
WILDE:Um ….. It was one of Whistler’s.
ワイルド「えー・・・。って、ホイッスラーが言ってました」
JAMES MAcNEIL WHISTLER:I didn’t say that.
ホイッスラー「言ってないけど」
WILDE:You did, James, you did.
ワイルド「言ったよ、ジェームズ、言ったよ」
PRINCE:Well, Mr. Whistler?
プリンス「どういうことかね、ホイッスラー君?」
WHISTLER:I- I meant, Your Majesty, that, uh, like a doughnut your arrival gives us pleasure and your departure merely makes us hungry for more.
ホイッスラー「つ、つまりですね、殿下、それは、あの、ドーナツのごとく、あなたのご到着はわれわれに喜びを生じさせ、そしてあなたが去られると余計に空腹を感じる、ということです」

と、ワイルドの卑劣なむちゃぶりに対し、ホイッスラーはうまいこと返して逆に見せ場にしてしまいます。最初、一瞬ホイッスラーは怯みましたが、すかさず自分を建て直し、すぐにええ感じの態度に戻ってます。このピンチにもすぐに落ち着いて魅力的な態度をとり、うまいこと言い放てる、というのが、ダンディというものです。ピンチを逆に自分を最大限魅力的に見せる見せ場にしてしまう。そして「うっわ、こいつ、むっちゃ才能あるやんけ!ただものではないな!」って強い印象を与えてしまうのです。

その後、ホイッスラーはすぐさま反撃に転じます。

WHISTLER:Your Majesty is like a stream of bat’s piss.
ホイッスラー「殿下はまるでこうもりの小便のようです」
PRINCE:What?
プリンス「なんだと?」
WHISTLER:It was one of Wilde’s.
ホイッスラー「って、ワイルドが言ってました」
WILDE:It sodding was not! It was Shaw!
ワイルド「言うわけないやろ!ショーが言ったんや!」
PRINCE :Well, Mr. Shaw?
プリンス「どういうことかね、ショー君」
SHAW:I, um, I, ah, I merely meant, Your Majesty, that, ah, you shine out like a shaft of gold when all around is dark.
ショー「あ、え、えー、つまり殿下の輝きは、暗黒の中できらめく黄金のほとばしりだ、ということです」
PRINCE:Oh, ho-ho.
プリンス「ほぅー」 ← なかなかうまいこと切り返すなあってリアクション
WILD:Right. Your Majesty is like a dose of clap.
ワイルド「殿下は淋病のようです」
WHISTLER:Before you arrive is pleasure, but after is a pain in the dong.
ホイッスラー「あなたの到着前は喜びであり、その後はうるさすぎて痛いです」
PRINCE:I beg your pardon?
プリンス「なんだって?」
WILD,WHISTLER:It was one of Shaw’s.
ワイルド、ホイッスラー「って、ショーが言ってました」

 

「こうもりの小便」っていう馬鹿にしくさった言葉を、「暗黒の中の黄金のほとばしり」と言い換えることで無理やり肯定的表現に変えてしまうわけです。これはNLPでいうところの「リフレーミング」=まったく別の枠で捉えなおすことで言葉の意味合いを変えてしまう技術に当たると思いますが、こんな風に高度な詩的表現でひょいひょい反射的にいろんなこと言い換えられたら、むっちゃかっこいいですよね。

 

この動画でトーク力・態度でいっちゃん魅せているのはやはりホイッスラーですよね。ワイルドは会場全部の注意を集めるような大声で話し、強気で自信はありそうでジャイアン風のSキャラですが、どや感まるだしのくせにしょっちゅうスベってます(ワイルドのパロディとしては死ぬほどウケるのですが・・・)。ホイッスラーは落ち着き払い、声の調子は抑え切られ、「なんかうまいこと言ったろう」っていう気負いみたいなものを一切感じさせません。本当の自信と、冴えわたった才能がある人、みたいな印象を与えます。頭よさそうだし、頼もしい感じもします。

ワイルドの服装が派手なのに対し、ホイッスラーは地味ななりをしていますが、トーク力と態度で、自分をどれだけすごい存在に見せることができるか、ってのがよくわかりますね。

というわけで長くなりましたが、次回は③相手を無力化するってことについて、書きたいと思います!