催眠が当たり前に使われていたシャルコーの時代はむちゃくちゃ

今度のセミナーで軽く催眠の歴史について触れるのですが、昔の画像を検索してましたら、たまたまシャルコーその人がごく最近、映画化されていたのを知りました。

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むっちゃ有名な神経医で、催眠を多用した人です。ちなみにフロイトの師匠でもあります。

 

 

で、当時のインダクション(=催眠誘導)のシーンがまるまるありましたので、参考までにアップしましたよ!

 

 

 

いわゆる直接法、しかもすっげー古典的なやつですね。

患者の意識に直接「(あの状態に)入れ」と、命令を下すわけです。

 

当時はまだヒステリーは、「女性の子宮の異常がもたらすもの」という考えから、やっと「心因性の精神疾患」って考えへと移行しかけている時代です。そして「よくわかんないけど、催眠をかけてヒスらせると、一時的にちょっとよくなる」ってことで、大学病院でも大々的に催眠が使われていました。

 

そして

こうなるわけですが。。

とりあえず突っ込みどころ、満載ですよね。

患者は研究者によって「興奮の対象」として見られてるのがわかります。。

妖怪学者が妖怪を見て興奮し、普通の人間には特に興味を抱かないように、神経科医は「自分が望むような患者らしい患者」に興味を覚えるのですw

なので、すっげーおもれー症状を持ってる患者には、むっちゃ特別扱いします。

たとえば、

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こういう妖怪みたいのが「興味深い対象」とされるわけですね。。

 

もし映画みたいに、おもろい患者が「若くて魅力的な患者」であり、しかも「ヒステリー発作が死ぬほどエロい!」となればなおさらですよね。。。

映画は実話ですが、どの程度のスト値だったかわからんものですが、

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↑もしかしたら、この人っぽいです。。

 

 

なんにせよ、催眠によって、表面的に抑圧されている「性的ニュアンス」がぐっと押し出されるわけですが、研究対象を前にした知的興奮と、艶めかしく発狂した若い異性を目の前にした性的興奮が、水面下ではがっつり混合されているのがよくわかります。。

 

 

当時のキチガイ病院は貧民収容所みたいな場所で、まだまだキチガイや貧民には何してもオッケーという時代であり、治療という名目で電流流したりとかばんばんやってたので、患者の方でも偉い医者に特別な注意を払われることは生き抜くための手段でした。なので、ちょっとでも待遇がマシになるならなんでもやったって側面があったわけです。

つまり、キチガイ病院の耐え難い環境でひどい扱いをされて死ぬほど追い込まれているので、患者にとって医者の存在・命令は絶対って状況なわけです。

だから、患者はむちゃくちゃ協力的であり、単純な直説法で何度かトランスに入る練習をすれば、どんどん入るのがうまくなるのですね。

しかもたとえば「性的ニュアンス」を全面に出してヒスった方が医者が喜ぶ、となれば、すかさず患者の潜在意識はそれを学習したことでしょう。

つまり患者は「おもろい患者であろう」と医者の望み応じた振舞いを、潜在意識のレベルで引き受け、より臨場感の高い、切迫した症状を表す(=ピグマリオン効果)、ってことになっているのです。

こういうことは、自意識が消滅した催眠状態=潜在意識がムキ出し状態だと、演技が迫真すぎて実際の症状として現れる、ってことになります。熱が出たり、足が腫れたりってことが実際に症状として現れるわけのです。「潜在意識レベルでの迫真の演技=ガチの症状」なのですね。。

身体のいろんな場所に麻痺が起こったり、耳が聞こえなくなったり、左目だけ見えなくなったり、ってことが起こるのです。

恐ろしい話です。。

そして、こうなってくるといよいよ医者の方でもますます「お気に入りの患者」を手放したくなくなります。

すると、「患者あっての医者であり、医者あっての患者」というようにお互いの役割を相互補完(=交流分析でいう、トランスアクション)しだすなどという、倒錯したことが起こるわけですが。。

そうなればたいてい、転移と逆転移が起こり、恋愛感情が生まれ、性的関係が結ばれてしまうわけです。シャルコーもそれをやってしまったらしいです。まあ、そこにしか出口がないのだからそうなって当然なのですが。。。

いつしか、医者の方が患者の潜在意識に踊られてるわけですから、極めてアホな話です。

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ジャン=マルタン・シャルコー
当時、神経学の世界的権威。パリの悪名高き精神・貧民病院サルペトリエールの医長。えー、つーか、そんな立場にある人が思いっきりナポレオンのポーズとってんですけど、まずくないのですかね?

 

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悪名高き貧民病院サルペトリエール。患者が鎖で繋がれてます。。
精神病者、貧民、売春婦、梅毒、てんかん病者5千~1万人「収容」していた世界でも有数の巨大キチガイ病院でした。抵抗できない患者にいろんな意味不明な「治療」が行われていました。。

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いやー、やりたい放題ですね。。

ドン引きです。

 

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なんか年をとって悪魔的なオーラを放ってきたシャルコー。メンヘラ界で突き抜ければ、こんな存在感が出てくるものでしょうか? 何千人ものメンヘラをより深いダークサイドに送りこめば、逆に格があがるものでしょうか??

 

 

というわけで、シャルコーほどの人物、当時、神経学者として世界的権威であった男が、たかだか19歳の、一介のメンヘラ召使いにハマってしまうってことが起こるので、やっぱ催眠は危険ですね。そしてそのうちシャルコーも精神のバランスを崩したのか、催眠デモンストレーションが派手さを増し、ドン引きレベルとなり、評判を落としたりするのですが・・・

メンヘラの世界は大変です。

一つ言えるのは、しょせん精神病院のようなメンヘラの世界で行われてる催眠は片落ちだてことです。患者をモルモットにし、大金を投じて大っぴらに研究はできても、なかなか熟練者は生まれません。モルモットが健常者ではない、立場の弱いメンヘラだからです。命令すればとりあえず聞く相手に練習を積んだところで、たかが知れてるのです。
本当に恐ろしいのは、この種の技術を日常的に健常者相手にひょいひょい使えるほど技を磨いた熟練者たちです。われわれナンパ師は、外でがんがん練習できる、という特性を活かし、やべーレベルの熟練者を目指したいものです!

 

 

 

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