高慢~④ 男にとってトーク力や態度とは何なのか?

前回、ダンディとしてダーシーのトーク力と態度は中途半端であり、「あ~あ、せっかくのスペックも台無しやな・・」ってことになってしまうと書きました。

もしダーシーにトーク力と態度があれば、「スペック台無し」どころか

①自分を最大限魅力的に見せる

ことができたわけで、彼のヤバいスペックをさらにぐっと演出できたはずです。

「鬼に金棒」だったでしょう。

 

ただ、実はダンディ道からすると、「トークや態度でスペックを演出できる」程度ではまだまだ甘いのですね。

 

ダンディ道においては、トーク力・態度というものは、自分の容姿・肩書き以上のものでなくてはいけないのです。

「イケメンなのに、トークもおもろい」

では、結局、

外見>トーク力・態度

なわけで、そんなの本当の男とはいえんのです。

男なら、

トーク力・態度>外見・肩書き

ってなってないといけません。

男と女の最大の違いはそれですよね。女は外見だけでもてはやされますが、男なら、そもそも中身がないと話になりません。女は「外見あっての中身」でよくても、男は「中身あっての外見」でないと!

つまり、

鬼=本体

金棒=付属品、パーツ

であるとするなら、

最強の女=鬼のような外見に、付属品としてトーク力・態度=「鬼に金棒」

最強の男=鬼のようなトーク力・態度に、付属品としての外見・肩書き=「鬼に金棒」

ってことになるのだと思います。

男も女もいくらすげー金棒を持っていても、本体部分がしょぼいと一挙にランクが下がりますもんね。

中身が最強で外見がカスの男 → それでも尊敬される

外見最強で中身がカスの男 → 見下される

中身が最強で外見がカスの女 → 見下される

外見最強で中身がカスの女 → それでも尊敬される

ってところでしょうか。

 

というわけで、男にとってトーク力・態度は、自分のスペックを演出できるレベルくらいではまだまだ甘いというわけです。死ぬほど磨いて、自分にとって一番の武器になってるくらいでないといけません。

トーク力・態度というものは、すご腕ナンパ師やNLP催眠レベルにまで磨けば、とんでもねー武器になるので、オレはここを中途半端にするのってホントもったいねーと思うのですよね。

トーク力・態度が最強レベルだと、

②ピンチをチャンスに変えられる。むしろ自分の最大の見せ場にすらしてしまう

③相手の力を無力化できる

ってことができてしまい、これこそが男が身に付けるべきクソヤバいスキルなのです。

まずは②の点について。

普通におもろいことをいう、くらいなら誰でも練習すればある程度はできるようになります。が、それをピンチの時、逆風が吹きまくってるときにできるか?となると、誰でもってわけにはいきません。

たとえば、

・無風状態で70点のことを言う

・逆風状態(マイナス50点の状態)で65点のことを言う

この場合、どう考えても後者の方がすごいですよね。前者は70点のことを言いましたが、後者はマイナス50点からの65点ですから、「ふり幅は115点」だからです。

70点とった前者より、ふり幅115点の後者の方が、

「む、こいつ、やるな!」

って印象を残せますよね。

で、もし、逆風状態で100点のことを言えたとすれば、「うっわ、こいつマジか!ヤバくね?」ってなるわけですが、いわゆるダンディはこれができないといけないのです。

ブランメルやオスカー・ワイルドは、たとえば王族の前でひどいむちゃぶりをされたりして、マイナス80点以上の逆風状態でも100点のことが言えたわけです。身分の低い生まれであると、人生の中で自分に追い風が吹いているって状況はあんまありません。無風状態すらまれであり、「いつも逆風、ってのが当たり前」なくらいです。ハンディを背負いつつも、他のハイスペックの連中には絶対真似のできない発言をして、状況をひっくり返し、強烈な印象を与えてしまうわけですね。

それこそがダンディなのです。

この点で死ぬほど参考になる動画がありますので、紹介します!

 

モンティパイソンのコントです。 最後のオチでいきなり志村けんみたいになり、時代を感じますが、とにかくセリフがヤバいです。

中央左がオスカー・ワイルド、中央右がプリンスオブウェールズ(皇太子で次期国王)、右端がホイッスラー、左橋がバーナード・ショー、っていう、すごい面子です。

オスカー・ワイルドはイギリスを代表するダンディの1人で、オレも死ぬほど影響を受けています。

ホイッスラーは画家ですが、ダンディとしても有名な人です。

バーナード・ショーは、『マイフェアレディ』の原作『ピグマリオン』を書いた劇作家ですね。

 

要はプリンスの前で、うまいこと言ってトーク力で競いあっているのですが、途中からお互いにむちゃぶりしあって、お互いを貶めようとしてますw ただでさえ身分の低い田舎者(ワイルドは平民の出でアイルランド出身、ホイッスラーも平民の出でアメリカ出身、ショーは没落貴族の家系でアイルランド出身)がプリンスの前でうまく振るわなくてはいけないっていう、プレッシャー状況であるのに、お互いにその状況をさらに過酷なものにしあってるわけですw しかし「そんな状況でもうまい切り替えしができるっていうのが、その人の実力の証明であり、むしろ自分の見せ場できるくらいじゃないといけなかった」というのがよくわかりますね。昔のロンドンの社交界ではこのように、王族クラスの偉い人を前にして貶めあいながら、きわどい発言をしてダンディたちはトーク力と態度を磨いていたのです。

 

部分的にセリフを書き出していきます。

最初のワイルドの発言はむっちゃ有名なやつですね。

THE PRINCE OF WALES: Ah, my congratulations, Wilde. Your play is a great success. The whole of London’s talking about you.

OSCAR WILDE: Your highness, there is only one thing in the world worse than being talked about, and that is not being talked about.

プリンス「おめでとう、ワイルド。君の劇はすさまじく成功しているね。ロンドン中が君の噂でもちきりだよ」

ワイルド「殿下、噂されることより悪いことがただ一つありまして、それは噂されないということです」

 

プリンスからのお褒めの言葉に対し、謙遜しつつも受け止めながらうまいこと言って実力を見せつける・・。日本で言ったら皇太子殿下にあたるような人に、こんな世界の文芸史に残るようなセリフが言えたら、そりゃヤバいですよね。

その後、ワイルドがホイッスラーに完全に押され気味になり、ピンチをショーにむちゃぶりすることで無理やりかわすっていう展開で、むっちゃウケるのですが、

WILDE:Your Majesty, you’re like a big jam doughnut with cream on the top.
ワイルド「殿下、あなたはまるでクリームが上に乗った、大きなジャムドーナツのようです」 ←むっちゃスベった
PRINCE:I beg your pardon?
プリンス「なんだって?」
WILDE:Um ….. It was one of Whistler’s.
ワイルド「えー・・・。って、ホイッスラーが言ってました」
JAMES MAcNEIL WHISTLER:I didn’t say that.
ホイッスラー「言ってないけど」
WILDE:You did, James, you did.
ワイルド「言ったよ、ジェームズ、言ったよ」
PRINCE:Well, Mr. Whistler?
プリンス「どういうことかね、ホイッスラー君?」
WHISTLER:I- I meant, Your Majesty, that, uh, like a doughnut your arrival gives us pleasure and your departure merely makes us hungry for more.
ホイッスラー「つ、つまりですね、殿下、それは、あの、ドーナツのごとく、あなたのご到着はわれわれに喜びを生じさせ、そしてあなたが去られると余計に空腹を感じる、ということです」

と、ワイルドの卑劣なむちゃぶりに対し、ホイッスラーはうまいこと返して逆に見せ場にしてしまいます。最初、一瞬ホイッスラーは怯みましたが、すかさず自分を建て直し、すぐにええ感じの態度に戻ってます。このピンチにもすぐに落ち着いて魅力的な態度をとり、うまいこと言い放てる、というのが、ダンディというものです。ピンチを逆に自分を最大限魅力的に見せる見せ場にしてしまう。そして「うっわ、こいつ、むっちゃ才能あるやんけ!ただものではないな!」って強い印象を与えてしまうのです。

その後、ホイッスラーはすぐさま反撃に転じます。

WHISTLER:Your Majesty is like a stream of bat’s piss.
ホイッスラー「殿下はまるでこうもりの小便のようです」
PRINCE:What?
プリンス「なんだと?」
WHISTLER:It was one of Wilde’s.
ホイッスラー「って、ワイルドが言ってました」
WILDE:It sodding was not! It was Shaw!
ワイルド「言うわけないやろ!ショーが言ったんや!」
PRINCE :Well, Mr. Shaw?
プリンス「どういうことかね、ショー君」
SHAW:I, um, I, ah, I merely meant, Your Majesty, that, ah, you shine out like a shaft of gold when all around is dark.
ショー「あ、え、えー、つまり殿下の輝きは、暗黒の中できらめく黄金のほとばしりだ、ということです」
PRINCE:Oh, ho-ho.
プリンス「ほぅー」 ← なかなかうまいこと切り返すなあってリアクション
WILD:Right. Your Majesty is like a dose of clap.
ワイルド「殿下は淋病のようです」
WHISTLER:Before you arrive is pleasure, but after is a pain in the dong.
ホイッスラー「あなたの到着前は喜びであり、その後はうるさすぎて痛いです」
PRINCE:I beg your pardon?
プリンス「なんだって?」
WILD,WHISTLER:It was one of Shaw’s.
ワイルド、ホイッスラー「って、ショーが言ってました」

 

「こうもりの小便」っていう馬鹿にしくさった言葉を、「暗黒の中の黄金のほとばしり」と言い換えることで無理やり肯定的表現に変えてしまうわけです。これはNLPでいうところの「リフレーミング」=まったく別の枠で捉えなおすことで言葉の意味合いを変えてしまう技術に当たると思いますが、こんな風に高度な詩的表現でひょいひょい反射的にいろんなこと言い換えられたら、むっちゃかっこいいですよね。

 

この動画でトーク力・態度でいっちゃん魅せているのはやはりホイッスラーですよね。ワイルドは会場全部の注意を集めるような大声で話し、強気で自信はありそうでジャイアン風のSキャラですが、どや感まるだしのくせにしょっちゅうスベってます(ワイルドのパロディとしては死ぬほどウケるのですが・・・)。ホイッスラーは落ち着き払い、声の調子は抑え切られ、「なんかうまいこと言ったろう」っていう気負いみたいなものを一切感じさせません。本当の自信と、冴えわたった才能がある人、みたいな印象を与えます。頭よさそうだし、頼もしい感じもします。

ワイルドの服装が派手なのに対し、ホイッスラーは地味ななりをしていますが、トーク力と態度で、自分をどれだけすごい存在に見せることができるか、ってのがよくわかりますね。

というわけで長くなりましたが、次回は③相手を無力化するってことについて、書きたいと思います!

 

 

 

 

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